植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀の「知られざる真実」
~勾留地にて~

を読んだ。

植草氏は事件の前後に亘る行動を正確な記憶を基に描いている。

このことから推測して植草氏の逮捕事件が、

政権の政策に批判的な意見を持った人間を、

詰まり政敵を抹殺する冤罪事件だったのだと確信した。

年末に京都の清水寺で恒例となった「その年」を漢字一文字で表わす行事があるが、

一昨年は「偽」だった。

そして昨年が「変」である。

その最たるものが第一章に描かれている。

マスコミ報道が如何して政権の意向を反映しているのか、

此処まで酷いのかと読み進むに連れて、

憎しみが湧いてくるような気分に襲われた。

宇和島徳州会の「生体腎移植問題」が大々的に報じられた事件のことだ。

その報道までが沖縄知事選に利用されたらしいのだ。

何処までも狡賢く考えるものだ。

流石に政権党は賢いと感心している場合ではない。

本の内容に驚きを隠せなかったので

「第1章 偽装1」を貼付け読んでない方の参考にしたい。

植草一秀の「知られざる真実」ブログも読んでほしい。
(参照:http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/


(貼付け開始)

第1章 偽装 
1 沖縄知事選と徳州会病院臓器売買事件

私の拘留期間中、2006年11月19日に沖縄知事選挙が実施された。
9月26日に発足した安部晋三政権にとって、政権発足後の最初の試金石となる選挙だった。
安部政権は教育基本法を改正して「愛国心」を教育方針に明文化したうえで、国民投票法を制定し、憲法を改正することを訴える。
そして、日本の安全保障体制を強化する方針も示した。
沖縄では普天間基地移設による基地跡地返還問題が行き詰まり、
これも知事選の重要な争点だった。
米国は「トランス・フォーメーション」と呼ばれる米軍の世界配置の再編を進めており、
在日米軍の再編も重要な政策案件となってきた。
小泉政権を引き継いで米国の意向に従う方針を示している安部政権にとっては、
今後の選挙基盤を固めるうえで、
沖縄知事選は負けることのできない選挙だった。
米国で11月7日に実施された中間選挙では、ブッシュ大統領の率いる共和党が歴史的敗北を喫した。

1994年以来続いてきた共和党による上下両院支配が音を立てて崩れた。
2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロを理由に、
ブッシュ大統領は2003年3月に米軍によるイラク攻撃を指令した。
すでに4年以上が経過しているが、
イラクの泥沼状況は一段と深刻度を増している。
米国のNBC放送がイラクでいまも続く紛争を、
正式に「内戦」と表現して報道し始めたニュースが伝えられた。
中間選挙での共和党大敗北という政治状況の変化を背景にした、
メディア特有の豹変ぶりを示しているが、
米国の国内でもイラク戦争の評価は激変している。
そもそも2001年9月11日の事件は多くの謎に包まれている。
この問題に触れることには、
相当の覚悟を必要とすると実感している。
このことは後に触れる。
しかし、疑問は疑問として提示しなければならない。
「情報」あるいは「インテリジェンス」に関わりを持つものは特別な「情報」を取り扱う場合、
細心の注意、時には自らの生命の危険をも意識しなければならない。
沖縄知事選挙の1週間前に実施された福島県知事選挙では、
民主党、社会党などが推薦する候補者が自民党と公明党の推薦する候補者に10万票の差をつけて勝利した。
東京拘置所で私の居房の真向かいに前福島県知事の関係者が拘留されていた。
連日、朝から夜まで取り調べが続いた。
福島、沖縄で与党が連敗すれば、
安部政権の求心力が一気に低下する。
危機感が自民党執行部に広がった。

沖縄知事選の争点は、日本基軸外交、憲法改正、
教育基本法改正を政策の柱に据える安部政権の基本政策と密接に関わっていた。
選挙結果が与える影響は重大だった。
知事選の直前に与党は衆議院で教育基本法改正案の採決を強行した。
野党は審議拒否で対応し、
野党欠席のまま与党のみによる採決が衆院本会議で実施され、
教育基本法は賛成多数で可決された。
ニュースを耳にして「安部政権は沖縄知事選勝利の確証をつかんだに違いない」と直感した。
自民党は独自の調査を実施して、勝利の確証を得たのだろう。
果たして、選挙は与党に勝利に終わった。
自公推薦の仲井真弘多氏が34万7303票、
野党ほか推薦の糸数慶子氏が30万9985票だった。
3万7000票差での仲井真氏勝利だった。
投票日当日のマスコミ出口調査では糸数氏リードだった。
だが結果は逆になった。
朝日新聞が実施した出口調査では、
投票した県民の56%が経済問題を最重視し、
その中の67%が仲井真候補に、32%が糸数候補に投票した。

基地問題を最重視した人は28%で、このうちの84%が糸数候補に、
15%が仲井真候補に投票したとのことだ。
投票所に足を運んだ有権者の三分の二が経済問題を重視し、
その結果、仲井真候補が勝利したとの分析が可能である。
だが、別の視点で鍵を握ったと言われたのが、
11万票もあった「期日前投票」である。
不在者投票は8年前の知事選時には5万8000票だったが今回は11万票に増えた。
創価学会が動員をかけたことも伝えられたが、
もうひとつ指摘がある。
「徳州会病院」が仲井真陣営の支援に回ったのだ。
徳州会は沖縄県内に16もの医療施設を持つ。
鹿児島2区を選挙区とする元自由連合の徳田毅衆議院議員は徳州会前理事長の徳田虎雄氏の子息だ。
その徳田議員が知事選を前に沖縄で1200人の集会を開いたという。
徳州会は組織をフル動員し、
また鹿児島から百人単位で職員を沖縄に派遣して選挙戦に従事させたそうだ。
ここまで読み、ある騒動を思い浮かべた人がいるだろうか。

沖縄知事選と並行して進行した騒動があった。
10月から11月にかけて新聞を賑わせた愛媛県宇和島徳州会病院を舞台にした「生体肝移植問題」だ。
大きな事件と言うより、不自然に大々的に取り上げられた事件だ。
徳田毅議員は沖縄知事選挙直前の11月2日に自由連合を離党した。
沖縄知事選後の11月29日に自民党に入党願を提出した。
徳田氏の父である徳田虎雄氏がかつて衆議院選挙を戦った鹿児島県奄美群島選挙区は、
徳之島や奄美大島を中心に壮絶な金権選挙が行われ、
全国にその名が知れ渡った。
「徳之島戦争」と言われた激しい選挙戦の背景には日本医師会と医療法人徳州会の骨肉の争いがあった。
宇和島徳州会の「生体肝移植問題」をめぐる連日の新聞大報道を読みながら、
何か大きな背景があるのだろうかと訝しく感じた。

沖縄知事選挙と宇和島徳州会病院を舞台にした臓器売買事件。
二つの話題を結びつける国民は皆無に近いだろう。
私も友人が雑誌記者のブログ記事を送ってくれなかったら見過ごしていた。
ブログ情報は、徳田氏の自民党入党を警戒する日本医師会が徳州会攻撃を展開したこと、
自民党幹事長に就任した中川秀直氏が徳田氏に交渉を持ちかけたことを指摘していた。
真偽を確認することはできないが、
充分に考えられる話だ。
沖縄知事選後、徳集会病院の生体肝移植問題は急減した。
司法当局が本格的に動き出す気配も後退した。
外務省官僚で現在休職中の佐藤優氏が「国家の罠」と題する本を出版した。
国会議員の鈴木宗男氏があっせん収賄容疑で逮捕された時、
佐藤氏もロシア出張に関する公費取扱いなどの問題を理由に背任および偽計業務妨害容疑で逮捕された。
佐藤氏は、私が原稿を書いている東京拘置所に512日という長期間拘留された。
その期間に同氏の不屈の精神力と明晰な頭脳が生み出したのが2005年3月に出版された「国家の罠」だ。
佐藤氏は2006年12月には東京拘置所での読書ノートをもとに「獄中記」(岩波書店)を出版するなど精力的に活動している。
「国家の罠」によって「国策捜査」という言葉が知られるようになった。
国家権力には立法、行政、司法があり、「三権」は「分立」していると学校では教える。
だが、これはフィクションだ。
日本の国家権力の仕組みには、
運用によって独裁的な政治権力を生み出す仕掛けが内在する。
この点も後述する。
仮説を提示することは容易だが、
宇和島徳州会病院問題と沖縄知事選挙の因果関係の「立証」は困難だ。
生体肝移植問題が表面化したのちに徳田毅議員は自由連合を離党し、
自民党入党の意向を表明した。
徳田氏が自由連合を離党したのは沖縄知事選挙告示日の11月2日だった。
自由連合は沖縄知事選挙で野党候補の糸数慶子氏を推薦していた。
各種報道で宇和島徳州会病院の生体肝移植問題が大騒動になった。
徳田議員率いる徳州会は沖縄知事選で仲井真候補を総力を挙げて応援した。
仲井真候補が当選した。
沖縄知事選後に宇和島徳州会問題は急速に沈静化した。
徳田毅議員は11月29日に自民党に入党願を提出し、
12月20日に入党が正式に認められた。
これだけのことが起こった。
世間で宇和島徳州会問題と沖縄知事選を結びつける人はほとんどいない。
いたとしても、
無限に広がるインターネット空間の片隅で独り言をつぶやく人が少数存在するだけで人々の耳に届かない。
だが、仮に一連の経過が政治権力に支配された司法とメディアの作為によって仕組まれたものだったら笑って済ませるわけにいかない。

(張付け終了)


このあと30話まである。

植草一秀氏が闘った記録だ。

読んでもらえれば、真摯な言葉が綴られているのがよく分かるのだが。


題目だけ記しておく。

2  テレビ・メディアの散薄さ  
3  偽装三兄弟  
4  耐震構造偽装  
5  偽装タウンミーティング
6  福井日銀総裁追求の深層
7  摘発される人・されない人
8  りそな銀実質国有化
9  小泉政権五つの大罪
10 自由党定例研究会
11 日本経済混迷の真相
12 異論の表明
13 小泉純一郎氏への進講
14 日本経済の崩壊
15 標的にされたりそな銀
16 1・3・5の秘密
17 小泉・竹中経済政策の破綻
18 巨大国家犯罪疑惑
19 りそな銀処理の闇
20 求めれれる事実検証
21 天下り全廃なくして改革なし
22 第一種国家公務員の廃止
23 切り捨てられる弱者
24 米国隷属の外交
25 外国資本への利益供与
26 露見した郵政米営化の実態
27 濫用される権力
28 蔑視されていた国民
29 言論封殺のメディア・コントロール
30 竹中氏の抗議


この見出しから分るだろう。植草氏は経済の専門家である。

いろんな経済関係の会議・プロジェクト委員であった経済のプロだ。

彼自身が不条理な事件に巻き込まれた理由も詳細に書かれている。

権力の意向に沿わない考えの者を認めない、

小心者の権力者が狂信する政策だけを進めるため、

他者の意見は一切聞かずに権力を使った「大人の苛め」を実行していたのだ。

政治家だったら政治の世界から抹殺されたであろう。

政権に不都合な者は追い落とされる。

追い落とされる人たちの声はマスコミの偏向報道によって、

国民の耳には届かない。

届くのは偽装報道の犠牲となった者が犯罪者であるが如く、

晒し者にされる姿だけである。

報道の裏で高笑いをしている権力者を温存させてはならない。

小泉政権以降の安部政権、福田政権、麻生政権は国民の信を得ず、

自公政権が何でもありのデタラメ政治を行っているが、

元凶は小泉純一郎元首相が郵政民営化法案が参議院で否決されたことに、

腹を立て衆議院を解散するという憲法違反の暴挙だったのだ。

こんなデタラメを何時まで国民は許しているのだろう。

世界の笑いものになっているのが分からないのは報道規制があるからだ。

正しい情報が国民の耳に届いていないことが原因なのだ。

そして国民が政治に示す関心が少ないことにも原因がある。

現政権に不満があれば、次回は必ず野党に投票することだ。

不満があるのなら満足する政権になるまで野党に投票し、

必ず政権交代を成し遂げることが必要なのだ。

本の内容は、第2章 炎、第3章 不撓不屈 と続く。



全体を通して、植草氏は政治の貧困の原因が官僚制度にある。

第一種国家公務員制度にあると言う。

天下り、渡りで莫大な税金を吸い上げるシステムを廃止すべきだと訴えているのだ。

官僚が定年まで勤め上げることを保障すれば、

このようなことはなくなるのではないか。

更に前例主義を見直すべきだと私は考える。


toshi

この記事へのコメント

植草の知られた真実--痴漢
2009年06月27日 14:47
最高裁は、植草被告側の上告を棄却する決定をした。植草被告を懲役4月の実刑とした1、2審判決が確定する。
toshi
2009年06月27日 15:09
最高裁が上告棄却したからといっても真実が変わることではない。
判決が必ずしも正しいと言うことでもない。
国家権力が何でもできると言うことに無理があるのではないでしょうか。裁判官も公務員であり、必ずしも正しいことを貫けないこともあるでしょう。その辺りを政治学者の渡邉良明氏が植草一秀の「知られざる真実」の読後感として、森田塾HPで指摘している。一度お読みくだされ。http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/WA2-63.HTML

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